膀胱がん

膀胱は下腹部の恥骨の裏側にあります。膀胱の働きは大きく分けて2つあります。一つは尿を溜めるタンクの働きです。しかも、ある一定量たまると、「トイレに行きたいなぁ」と知らせてくれるセンサー付きの非常に優れたタンクです。

もう一つの働きは、排尿といって尿を体外へ排出するポンプの働きです。排尿は尿道括約筋という尿が漏れないように蛇口のような役目をしている筋肉が開くことと、膀胱が収縮して膀胱内にたまった尿を押し出すことで行なわれます。つまり、膀胱は収縮することで尿を体外へ排出するポンプの役目をしています。

膀胱腫瘍は良性のものが少なくほとんどが悪性腫瘍、つまり膀胱がんということになります。男性に多く、年齢は70歳台にもっとも多くみられます。

膀胱がんの原因として、喫煙が危険因子として知られており、男性における喫煙者のリスクは、非喫煙者に比較して4倍といわれています。

膀胱がんは、大きく3つのタイプに分類されます。膀胱がん全体の70~80%が表在性膀胱がんで、20~30%が浸潤性膀胱がんといわれています。

表在性膀胱がん悪性度が低く膀胱の内腔にカリフラワー状に発育しており、膀胱の壁には深く進まないタイプ。再発をくり返しやすいという特徴がありますが、生命にかかわることはほとんどありません。
浸潤性膀胱がん悪性度が高く早期に膀胱の壁に深く進むタイプです。浸潤性膀胱がんは進行が早く、早期にリンパ節や他の臓器に転移を起こしやすいがんです。
上皮内がん(CIS)特殊なタイプとして上皮内がんがあります。表在性膀胱がんの患者さんのなかにも、浸潤性膀胱がんへ移行するものもあり注意が必要です。
症状初期症状として多くみられるのは血尿です。必ずしも肉眼的なものではなく、顕微鏡でわかる程度の血尿のこともあります。とくに腫瘍が大きくなってくると、頻尿、排尿痛、残尿感のほか、尿路感染、尿管口の閉塞による腎機能の低下なども起こります。
治療手術療法が最も有効と考えられています。
浸潤度の低い表在性の膀胱がんの場合には経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)という術式でがんを取りきることが可能です。手術は、通常半身麻酔で、尿道から膀胱に内視鏡を入れ膀胱内に発生した腫瘍を電気切除機器で取り除きます。開腹手術よりも手術の負担が少なく術前の検査で全身状態が良好に保たれていれば、高齢者でも受けられる治療法です。
浸潤度が高くTUR-BTで不十分な場合には膀胱部分切除術や膀胱全摘除術を行います。
膀胱全摘除術では、膀胱を摘出するだけでなく骨盤内のリンパ節も取り除きます。男性では前立腺や精嚢腺も摘出します。女性の場合、尿道や子宮・膣の一部も同時に摘出する場合があります。また同時に尿路変更といって尿の通り道を作り直す必要があります。

神経因性膀胱

尿は膀胱と尿道がうまく働いて排泄されます。これらを働かせるためには、働けという命令を伝える神経がしっかりしていないとうまく働きません。この神経が病気になったり、けがをしたりしてうまく働かなくなった状態を神経因性膀胱(機能麻痺)といいます。

症状神経因性膀胱は大きく上位型と下位型に分かれます。

上位型(痙性神経因性膀胱)
膀胱の持つ蓄尿機能(タンクの役目)の機能が障害され膀胱の容量が少なくなります。すなわち膀胱は刺激され過敏な状態となり1日の排尿回数は10回以上と頻尿になり、尿意は切迫し我慢ができなくなって失禁もみられます。さらに尿道括約筋も収縮し、出口が閉まることにより排出機能も障害されると排尿に時間がかかり残尿もみられるようになります。
また、膀胱の内圧が上がるため、膀胱から尿管へと尿が逆流しやすく、腎盂炎を繰り返したり水腎症を起こしたりと、腎機能障害もきたしやすくなります。
このような状態は、脳血管障害、パーキンソン病、多発性硬化症、脊髄損傷などでみられます。

下位型(弛緩性神経因性膀胱)
主に排出機能の障害が起こり、膀胱は緩んだまま、ただの袋のような状態になります。尿意を感じることなく、膀胱の容量を超えるとあふれるように失禁してしまいます。
排尿しても膀胱内には多量の残尿がみられ、膀胱炎を起こしやすくなります。
このような状態は糖尿病、骨盤外傷などに伴う脊髄損傷などで見られます。
治療症状に合わせた薬物療法を行います。
薬物療法だけでは不充分な場合は手や腹圧による膀胱訓練、カテーテルによる導尿、さらに神経ブロックや手術などの方法もあります。

過活動膀胱

過活動膀胱は膀胱が勝手に縮んだり、過敏な働きをするために尿が十分溜まっていたいうちに、急に我慢できない尿意が起きる状態のことを言います。

原因として挙げられるのは、男性の場合は「前立腺肥大症」によるものが一番多いと言われています。つまり、前立腺の肥大により、尿が出にくい状態が続き膀胱が過敏に働くようになるために起こります。女性の場合は骨盤底筋の衰えによるものが多いと言われています。つまり、出産や加齢によって、子宮・膀胱・尿道などを支えている筋肉(骨盤底筋)が弱くなるために起こります。そのほかにも「神経因性膀胱」によって起きる場合も多くみられます。

症状急に尿がしたくなり(尿意切迫)、そのため頻尿(昼間に8回以上)になっている状態を過活動膀胱と言います。また急に尿がしたくなった時にトイレまで間に合わずにもれてしまうというような、切迫性尿失禁がある場合もあります。
治療生活指導、骨盤底筋体操、膀胱訓練、薬物療法、電気刺激療法で治療します。

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干渉低周波頻尿・尿失禁治療装置 <ウロマスター>

ウロマスターは過活動膀胱・尿失禁に対する電気刺激法で、副作用が無い安全で簡単な治療法です。

下腹部と臀部に専用パットを4枚貼り、干渉低周波電流を用いて膀胱および膀胱周辺の排尿筋、骨盤底筋に刺激を与えます。

ウロマスターでは皮膚表面での刺激抵抗の少ない、4000Hz帯の中周波を用います。2つの異なる中周波電流(4020Hzと4000Hz)を体内で交差させるように流し、その位相差により生じる低周波20Hz(4020Hz-4000Hz)により神経、筋組織に刺激を与えます。周波数の低い10Hz領域では麻痺した筋肉に刺激を与え、100Hz領域では興奮した筋肉を鎮静させる効果があります。ウロマスターでは10Hz、20Hz、50Hzの干渉低周波を用いていて、膀胱周辺の排尿筋、骨盤底筋に刺激を与えることで、頻尿・尿失禁を改善していきます。

鹿行地区では当院のみで治療可能な機械です。

ウロマスターの特徴
・約70%の方に効果があります。
・専用粘着パッドを貼って約20分間寝ているだけの簡単な治療です。(着衣のままで可能です)
・副作用がありません。
・高齢者や身体の弱い方でも安全・簡単に治療できます。

費用
・治療費用は、保険が適用されます。
・専用粘着パッドは当院で用意しているものを使用する場合は無料です。
 ただし患者様共通での使用となりますのでご了承ください。
・ご自身専用の粘着パッドをご希望の方は、4枚セットで¥3.000(消費税込)で購入できます。
・専用粘着パッドは20回から30回使用可能です。

治療回数
・最初の3週間は週2回程通院していただき、その後は2週間に1回程です。
・効果があがった時点で治療は終了となります。判断は医師とご相談ください。

ウロマスター

急性膀胱炎

尿道を通じて細菌感染を起こした状態のことです。
女性に多く、原因としては排尿の我慢しすぎ、冷えや疲れがきっかけとなることが多いようです。

症状排尿痛(特に排尿の終わりの痛み、違和感)、頻尿、尿の濁りが3大症状で、その他に残尿感、血尿などがあります。
治療治療は抗生物質の内服と水分を多めに摂ることで症状は数日で改善します。
また、抗生物質の治療をしても症状ないしは炎症反応が改善しない、尿潜血反応あるいは血尿が出るなどの症状が続く場合には尿路結石、膀胱機能異常、尿路通過障害や尿路腫瘍などの基礎疾患が見られることがありますので詳しく検査することをお勧めします。

膀胱脱

膀胱脱、子宮脱、直腸脱のことを骨盤内臓器脱といいます。女性の病気です。

珍しい病気ではなく、出産や加齢で骨盤底が緩むために、膣から子宮が出てきたり、膣の壁と一緒に膀胱や直腸が下がってきたりする状態です。

骨盤内臓器脱と総称されますが、下垂・脱出してくる臓器によって子宮脱、膀胱脱(膀胱瘤)、直腸脱(直腸瘤)などと呼ばれます。

膀胱脱画像

症状会陰部に何か触れる、歩行時や排便時など腹圧がかかった時に不快感があるといった症状が多く、しばしば排尿排便障害・尿失禁を伴います。
治療薬物療法、骨盤底筋体操、電気刺激、膣内補助具、手術療法があります。