蕁麻疹

虫に刺されたような湿疹(膨疹)やみみずばれのように腫れあがり、かゆみを生じます。

一つ一つ膨疹は数時間で消失します。症状が強いと新しい膨疹が次々と出現します。

皮膚の近くの血管周囲にはマスト細胞というものがあり、何らかの原因でヒスタミンという物質を放出しかゆみを伴った膨疹を生じます。

原因として有名なのは即時型アレルギーと呼ばれる反応です。

食べ物(エビ・かに・そばなど)が原因となることもありますが、食物による蕁麻疹は特定の食物を食べた時にのみ症状が出現することが多いので、多くの場合は原因食物を予想することができます。何週間も続けて毎日のように繰り返して出没する蕁麻疹の場合には、食物が原因となっていることはほとんどありません。

治療の第1は原因の除去です。つまりできるだけ原因・悪化因子を探しそれらを取り除く、または避けるようにすることです。

第2は薬による治療です。薬には外用薬、内服薬と注射(特に抗ヒスタミン薬または抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬)が用いられます。

急性蕁麻疹のほとんどのものは、たまたま一度だけ現れるか、繰り返して起きても1ヶ月以内に起こらなくなります。

慢性蕁麻疹の場合は、自分自身では症状の出現を避けることができず、数ヶ月、あるいは数年にわたり蕁麻疹の出没を繰り返すことが珍しくありません。そしてそれまでの経過が長ければ長いほど、その後病気が治るまでにかかる時間も長い傾向があります。多くの場合、薬を飲んでいれば症状はおさまりますが、止めればまた元通りの症状が出るようになってしまうことがあります。

蕁麻疹の種類には下記があります。

急性蕁麻疹毎日のように繰り返し症状が現れる蕁麻疹のうち、発症して1ヶ月以内のもので細菌、ウイルス感染などが原因となることが多い蕁麻疹です。
慢性蕁麻疹毎日のように繰り返し症状が現れる蕁麻疹のうち、発症して1ヶ月以上経過したもので原因が特定できないことが多い蕁麻疹です。
物理性蕁麻疹機械的擦過や圧迫、寒冷、温熱、日光、振動などといった物理的刺激により起こることが多い蕁麻疹です。
コリン性蕁麻疹入浴や運動などで汗をかくと現れる蕁麻疹で、一つ一つの膨疹(皮膚の膨らみ)の大きさが1~4mm程度と小さく、小児から若い成人に多い蕁麻疹です。
アレルギー性蕁麻疹食べ物や薬剤、昆虫などに含まれる特定物質(アレルゲン)に反応して起こるもので、アレルゲンに結合するIgEという血清蛋白が関与することが多い蕁麻疹です。
血管性(クインケ)浮腫唇やまぶたなどが突然腫れあがり、2~3日かかって消えます。

アトピー性皮膚炎

痒みを伴い慢性的に経過する皮膚炎(湿疹)ですが、その根本には皮膚の乾燥とバリアー機能異常があり、そこへ様々な刺激やアレルギー反応が加わって生じると考えられています。

アトピー性皮膚炎は遺伝的素因に加え、様々な内的、外的悪化要因を持った皮膚病ですので、現時点では病気そのものを完全に治す薬物療法はありません。従って対症療法が治療の原則になります。

ステロイド外用剤、非ステロイド外用剤、免疫抑制薬(若干刺激が強いですが、症状の改善とともに改善していきます)を用います。
ステロイド外用薬は恐い薬だと思い込み、民間療法に走る人や、ステロイド外用薬を使おうとせず、いつまでも症状を長引かせる人がいます。それよりもステロイド外用薬のよい点を認め、うまく利用して症状を軽減させるほうが賢明な選択ではないでしょうか。ステロイド外用薬は正しく使用すれば副作用のほとんどない安全な薬です。ただし使い方を誤れば、かえってひどくなることがあるのです。

アトピー性皮膚炎では皮膚のバリアー機能がもともと低下していますので、折角ステロイド外用薬などで炎症を治めても、スキンケアを怠ると炎症は容易にぶり返してしまいます。皮膚の清潔保持のため入浴、シャワーを励行し、刺激の少ない石鹸で軽く洗います。それに加えていわゆる保湿剤の中から使用感のよいものを選んで1日2回塗ります。炎症を抑えると共に、スキンケアをきちんと行うことがアトピー性皮膚炎治療の大原則です。それとかゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬などを併用します。

詳しくはこちらへ(マルホ株式会社「あなたにあったアトピー性皮膚炎治療を。」)

白癬(みずむし)

白癬菌といった菌の感染です。爪に感染すれば爪白癬(つめみずむし)、足に感染すれば足白癬(足みずむし)、股に感染すれば股白癬(たむし)などと呼ばれます。

白癬菌の問題点は人にうつすということがあげられます。とくにバスマットやスリッパといったものを通して身近な家族などに感染します。家族の中に一人でもみずむしの人がいれば、みんなで治療をしないと再発を繰り返します。爪白癬はしつこい病気なので治療も半年~1年といった長期戦なため根気がいります。

ヘルペス

単純疱疹、帯状疱疹があります。

単純疱疹とはヘルペスウイルスの感染により起こります。好発部位は口周囲と陰部です。
再発しやすく、抗ウイルス薬にて治療します。

帯状疱疹とは水痘(みずぼうそう)として発症したウイルスが体内の神経節に残っていて、成人になって帯状疱疹として現れます。
痛みの範囲は、片側のみで、神経に添って起こるので、他の病気と区別がつくことが多いです。
痛みは鈍い、あるいは鋭い灼熱感、または突き刺すような痛みで、程度は軽度のものから、夜も眠れないほど激烈なものまでさまざまです。大部分は皮疹の治癒と同時に疼痛も消失しますが、一部の症例では皮疹治癒後にも痛みが残り、年余にわたって疼痛が続く場合があり、これを帯状疱疹後神経痛といっています。
抗ウイルス薬にて治療しますが、帯状疱疹後神経痛の場合は痛み止め、抗うつ薬、抗けいれん薬などでも治療します。

伝染性軟属腫(水イボ)

ウイルス感染にて起こる病気です。水を含んだような丸い光沢のある小結節(数ミリ~5ミリ)で、大きいものは中央がやや陥凹しています。自然治癒もありえますが、いつになったら治るという保証はなく、全身に広がったり他人に移す危険性が多いので早めの治療をお勧めします。治療としては特殊なピンセットで一つ一つ取るのが確実で一般的な治療です。

「とったほうがよいの?」「プールはだめ?」

プールの時期になるとよく親御さんに質問されます。

水イボは自然治癒も多いですが、放置するとどんどん広がっていくこともある病気です。治療は痛みを伴いますので、数の少ないうちに取ってしまう方がお子さんにとっても苦痛が少なくて済みます。

また、水イボがある時は治療してからでないとプールに入れてもらえないことがあります。水イボはプールの水では移りません。ですから同じプールに入ったからと言って必ず移るわけではないのです。

ではどのようにして移るのか?というと、よくあるのはビート板などを介して移ったり、子供がじゃれあったりすることでの接触感染で広がっていくのです。特に小さい子供たちのプールは水遊びなので、肌と肌が触れ合うことも多いため、他の子供に移してしまう可能性も高くなります。

移った・移されたと悩むより、保護者お互いが安心できるように、なるべく数の少ないうち(早期)に水イボを治療してからプールに入るほうがよいと思います。

伝染性膿痂疹(とびひ)

細菌による皮膚の感染症で、火事の飛び火のようにあっという間にひろがることより「とびひ」といわれています。ブドウ球菌や溶連菌などが原因菌です。軟膏や抗生剤の内服にて治療します。

病変部は石鹸をあわだてて清潔に保つように心がけます。またガーゼにて全体をおおうことも大切です。 自分の病変を悪化させたり、他人にうつすことがあるのでプールは治るまで止めておいたほうがよいでしょう。

詳しくはこちらへ(マルホ株式会社「とびひ(伝染性膿痂疹 でんせんせいのうかしん)」)

尋常性ざ瘡(ニキビ)

顔の前額部、頬部、口囲、下顎部などの他に、胸や背中の中心部にもできます。これらの部位は、脂腺の分布が多い場所です。そして毛孔に一致して炎症を認め、紅色となり、さらに膿をもった膿疱、膿瘍へと変化します。
治療としては以下のようなものがあります。
①皮脂の産生を抑える(脂っこいもの、チョコレートなどをさける)
②毛包内に皮脂が貯留しないようにする(洗顔をする、化粧はできるだけしない)
③ニキビ菌を減少させる(抗菌剤の内服・外用)
また、当院では美容皮膚科(光治療)でのニキビ治療も行っております。

鶏眼(ウオノメ)・胼胝(タコ)

機械的な刺激が加わり起こります。合わない靴を履いたり、一定の部位に加重や刺激があると起こりやすくなります。このため原因を除去しないかぎり再発しやすいのが特徴です。スピール膏などを用いて角質をとる治療を行います。

しらみ

しらみには頭じらみ、毛じらみがあります。

頭髪に寄生する頭じらみは、ふけと区別がつきにくいですが、手やくしですいても簡単に取れなければシラミの卵と考えられます。よく探せば体長2-4mmの虫が見つかります。まれに、大人にも移ります。お子さんがしらみにかかったら、ご家族も一緒に診てもらいましょう。 

毛じらみは、陰毛や体毛につくしらみで性感染症です。

治療は成虫や幼虫を専用の薬で殺しますが卵は死にません。髪に付いている卵を取るしかありません。幼虫を放置しておくとまた1週間位で成虫となり新たに卵を生み付けるので、何回か繰り返し殺虫しなければ良くなりません。布団は干して紫外線にあて、よくたたいてください。また、しらみの成虫は動き回るので、枕カバー、シーツ、肌着などは煮沸するか、熱湯に浸してください(約10分間)。そしてじゅうたんや畳なども毎日掃除機をかけましょう。

日光皮膚炎(日焼け)

紫外線は5月から9月が最も多くなります。また1日のうち12時~14時が最大になっています。

ここで紫外線の種類と地上の影響についてお話します。

UV-A:波長が380-320nm 大気圏でほとんど吸収されずに地表に達します。浴びると肌が黒くなる日焼けをします。ただし、大量に浴びるとDNAに傷がつき、皮膚の老化を早めることにつながります。

UV-B:波長が320-280nm オゾン層の増減により、地上に到達する量が変動します。浴びると肌が赤くなる日焼け(サンバーン)をします。大量に浴びると免疫力の低下や、皮膚ガンや白内障を引き起こす恐れがあります。

UV-C:波長が280-200nm オゾン層によりほぼ吸収されてしまうため、地上にはほとんど到達しません。ただし、最も危険で殺菌光線と呼ばれており、免疫力の低下や皮膚ガン、白内障を引き起こす原因になります。

日光皮膚炎の予防

紫外線を予防するには、もちろん紫外線に当たらないことが一番です。しかし、生活をする上で、全ての紫外線を避けることは不可能といえるでしょう。紫外線に当たった後の対策をすると同時に、日焼け止め化粧品や日傘、帽子等を活用して根本的に肌に紫外線が当たらないようにする対策をとることが大切です。

日焼け止め化粧品を購入する時に、SPFとかPAという言葉を目にするのではないでしょうか?これらは、いずれも紫外線防止効果の指標です。

SPF:正式名称はSun Protection Factorで対象紫外線はUV-Bです。

PA :正式名称はProtection Grade of UVAで対象紫外線はUV-Aです。

日本ではSPFは50までしか表示できない決まりになっており、50以上の場合には50+と表示してあります。実際はSPF30もあればよいといわれSPF50もSPF30もそれほど大差ありません。汗をかいたりすると効果が落ちるので、こまめに日焼け止めをぬることが大事です。