副腎腫瘍

副腎とは“あまり馴染みがない臓器”との印象が強い方も多いと思いますが体内のバランスを保つためのホルモンを分泌している非常に重要な臓器です。場所は左右の腎臓の上方に位置し、ちょうど腎臓が小さな笠をかぶったような状態で存在しています。重さは5~7g位の小さな臓器です。副腎で分泌されるホルモンは、体が外部から様々なストレスなどを受けた時に体の恒常性を保つ役割をしたり、血圧の調整を行ったりする役割を果たしています。

副腎腫瘍画像

副腎腫瘍とはホルモンの産生異常を伴うこともある腫瘍です。
副腎腫瘍は以下の3つのタイプに分類されます。

ホルモン非活性型腫瘍腫瘍細胞が本来副腎で作られるホルモンを産生していない腫瘍のことをさします。
その為、症状が出ることは稀で人間ドックなどで行われたCTなどで偶然発見されるケースが多い病気です。治療としては小さいものは経過観察となりますが、比較的大きなものは悪性の可能性も否定できないため、手術にて摘出する場合もあります。
ホルモン活性型腫瘍腫瘍がホルモンを病的に産生する腫瘍のことをさします。産生するホルモンの種類によって、原発性アルドステロン症(アルドステロンというホルモンを腫瘍が産生)、クッシング症候群(コルチゾールというホルモンを腫瘍が産生)、褐色細胞腫(カテコラミンというホルモンを腫瘍が産生)などがあります。この腫瘍の場合には、過剰なホルモンの作用のため、様々な症状が出現します。また、過剰なホルモンのため、様々なところで体内のバランスが崩れています。そのため、治療としては、過剰にホルモンを産生している腫瘍を摘出する手術が必要となります。
副腎がん副腎腫瘍の手術後、摘出した副腎の細胞を検査した際、稀にがんが発見されることがあります。診断された場合は転移など病期の広がりを調べる検査が必要になり、治療は術後化学療法が多く選択されます。
症状ホルモン非活動性腫瘍は症状がほとんどなく、超音波やCTで偶然見つかることが多い腫瘍です。ホルモン活動性腫瘍では産生するホルモンによって様々な症状がみとめられます。血圧に関係するホルモン産生腫瘍では高血圧、頭痛、頻脈。代謝に関係したホルモン産生腫瘍では手足のしびれ、筋力低下などがみられます。
治療手術療法が最も有効と考えられています。